ネットワークスペシャリスト試験

概要

 IPA 独立行政法人 情報処理推進機構が実施する国家試験です。
 合格率は12~15%と低く、情報処理試験の中でも高度情報処理試験に位置付けられている難しめの試験です。
 年1回、10月の第3日曜日に試験が行われます。

対象者

 IPAのページの説明を引用します。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、ネットワークに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者

出題内容と対策

■午前Ⅰ

・問題の形式

 一問一答式の4択問題です。全体の6割正解すれば合格です。

・出題内容

 この段階ではまだ、ネットワークに特化した内容ではないです。応用情報技術者試験の午前問題の一部が抜粋して出題されている感じです。ここで不合格になると午後Ⅱ以降は採点すらされず、一日完全に無駄にした感じになり、滅茶苦茶気分が落ち込みます。

・対策

 最近は過去問がIPAのページに掲載されるようになってるので、単純な1年前、2年前の過去問というのは売ってないですね。普通に参考書的に解説があって、章末に各単元のよく出る問題をもっと前の試験からもかき集めてる感じですね。いきなり章末問題やって、正答率悪かったり、解説読んでもよくわからない場合に参考書部分読んで再度章末問題を・・・という普通の勉強でよいともいます。
 本業が試験範囲に近い人は1日くらいでサラサラっと終わると思います。本業が遠い人は参考書部分しっかり読む必要がありますね。それは大変なので、応用情報に合格したら覚えているうちに早く受験するのがいいですね。午前Ⅰだけでも一回でも合格すると2年間免除されるので。私はもう4~5年くらい受験してないです。



■午前Ⅱ

・出題形式

 一問一答式の4択問題です。全体の6割正解すれば合格です。

・出題内容

 ここからネットワーク関連の問題が増えます。他の分野も出題されますが、ほんの少しです。これも全体の6割正解すれば合格です。

・対策

 きっと本業がネットワークに関連している仕事の人にとっては簡単で、試験範囲をざっとテキストで見直すくらいでよいのでしょうね。私はL2SWとL3SWの違いも判らないレベルだったので、2冊教科書を購入しました。テキストをしっかり読んで、ピンとこないところはもう一つの教科書を読んで、なおわからなければネットを見て・・・とやって、ポイントをノートにまとめてました。



 章末問題もしっかりやって点数が低いとさらに教科書読み直してそれなりに勉強しました。

■午後Ⅰ

・出題形式

 記述式です。割と長い文章を読んで、文章の中で虫食いになっている部分を埋めたり、あるいは「AとBの通信が失敗するのは何が原因か?」みたいな問題です。
 大問が3つ設定され、そのうち2つ回答して、6割正解すればOKです。ちなみに昔の情報処理試験は4問中3問回答しなければならなかったのでとにかく時間が足りず、午後Ⅰが最難関の印象でしたが、たったの2問でよくなったので時間余りまくりです。

・出題内容

 インターネットVPNとか何かをテーマにして、ネットワーク設計の課長レビューでの指摘に対する改善とか、「これは問題だね」的なふんわりした指摘について具体的に何を指摘されたのかとか、そんな感じの問題多いです。
 プロジェクトマネージャとかシステムアーキテクトに比べると、知識がないと解けない問題です。とはいえ、3問中2問解けばいいので、用語がわからなくて合格できない、という可能性は低いかと。あんまりよく知らない分野の大問は避ければいいだけなので。たとえば平成29年度の過去問を見ると以下の通りです。

  • SSL-VPN
  • 仮想デスクトップ
  • クラウドと社内ネットワークの接続

 どれか2個くらいわかるんじゃないかと。ところで、昔はもっと知識を問う問題が多かった気がしますが、たとえばクラウドの接続なんて業務で経験している方が有利ですよね。ネットワーク技術を知識としてしっかり勉強した未経験者より、経験があるSEのほうが有利になった感じですよね。

・対策

 午前Ⅱの勉強をしていれば知識は大丈夫かと。あとは、午後対策本を使って、試験形式に慣れることですね。ネットワーク関連のレビューによく参加するレベルでも、

 業務で係わっている人なら、あまり特別な対策は不要と思います。
 業務経験がない場合は問題をたくさん解いて、この設計は何が問題なんだろう?課長の指摘に対する改善策は何だろう?と考える練習をすればよいと思います。



午後Ⅱ

・出題形式

 記述式です。基本的には午後Ⅰと同じです。ただし、より文章が長く、説明に時間をかけている分、より実業務に近い印象を受けます。
 大問が2つ設定され、そのうち1つ回答して、6割正解すればOKです。なんか、午後Ⅰより簡単に感じるのは私だけでしょうか?
 プロジェクトマネージャやシステムアーキテクトみたいに論文がないので、勉強して臨めば絶対に受かります。論文はテーマに対する業務経験が少なすぎて、経験を想像でねつ造することも不可能なくらいのテーマだと、どうしようもない時があるので。

・出題内容

 午後Ⅰと同じです。やっぱり業務経験があると有利ですね。

・対策

 これまた、午後Ⅰと同じです。

有益度

私はこの試験の勉強を通じて、ネットワークの基本的な用語等を理解できました。出発点は開発系のSEなのですが、立場が上がるにつれて、どんどんレビューしなければいけない範囲が増えていっているのですが、ここで勉強してなかったら、ネットワーク系はお任せになってしまい、本番作業のリスクに関する指摘とか、こういう段取りしてくれ、とかいう指摘もできない管理者になってしまったと思います。
 冒頭にも書きましたが、ネットワーク系SEには物足りない試験でしょうが、要件を出す立場やレビューをしたり報告を受ける立場の人には大変有益な試験と思います。

難易度

私はネットワークに疎かったこともあり、1ヵ月くらい勉強が必要でした。勉強時間でいうと20時間くらいでしょうか?
 ただ、論文がないので勉強すれば絶対受かる確信が持てる試験なので、モチベーションは保ちやすかったです。